HSC=打たれ弱い?不登校の息子から考えた「感受性」と「強さ」

不登校・子育て

繊細で、強い。 それって矛盾する?

私の中の「HSPのイメージ」をそのまま具現化したような人がいます。小柄で華奢な美人さん。刺激や人の感情をよく拾って、繊細さが外から見ても伝わってくるような方。ゴリゴリのHSPさんです。

その人を見ていると、同じくHSP気質を自覚している私は、たまに思う。「……私、HSP名乗ってすみません🤣」

いや、だって私、気が強いんですよ(笑)。内向的だし、人の言葉や場の空気を拾いすぎる。一人反省会もするし、刺激が多いとしっかり消耗する。でも、納得できないことには「それ、おかしくない?」と思うし、必要なら言う。嫌なことにはNOと言う。

「繊細で儚げな守ってあげたい系」とは、だいぶ違う🤣(おっと涙が…)

でも最近、長男のことも含めてHSP・HSCについて改めて考えていて気づきました。

そもそも私自身が、「繊細=か弱い」というイメージを持っていたんじゃないか、と。

長男もHSC気質。でも「弱々しい子」ではなかった

長男も、内向的でHSC気質です。刺激を受け取りやすい。出来事や人の言葉を深く考える。不安も強く感じるし、それが身体症状として出ることもあります。そして現在は不登校です。

こう書くと、「繊細で、不安が強くて、学校へ行けなくなった子」という人物像を想像するかもしれません。でも、私が知っている長男は、それだけではありません。

嫌なことには「嫌」と言える。仲間外れにする子には、自分で「それはよくない」と伝える。脅されたときには、自分から先生に報告する。

口数は多くないけれど、クラスでは中心的な存在で友達も多かった。学校の外でも、散歩をしていたら年上のおじ友達が2人できたり(笑)、オンラインでは年上の人たちや有名な方とも交流する。外国の友達とチャットでやり取りすることもあります。

人とのつながりを作る力もある子です。私はずっと、この子を「か弱い子」だと思ったことがありませんでした。

だから私は最初、「この子が不登校?」と思った

長男が学校へ行けなくなった当初、私はなかなか現状を理解できませんでした。「この子が?」と思ったんです。

これまで嫌なことにも立ち向かってきた。自分の意見も言える。困ったときには助けを求められる。だから「この子なら大丈夫」「もう少し頑張れる」と思っていました。

今振り返ると、長男の「強さ」を見誤っていたわけではなかったと思います。実際に、この子には立ち向かう力がある。

私が混同していたのは、「立ち向かう力を持っていること」と「今、その力を使える状態にあること」。この2つでした。

そもそもHSP・HSCは「弱さ」を表す言葉じゃない

HSP(Highly Sensitive Person)やHSC(Highly Sensitive Child)は、医学的な診断名ではありません。研究では、その背景に感覚処理感受性という概念があります。

お茶の水女子大学の研究紹介では、感覚処理感受性は「深い認知的処理」「ささいな環境変化の察知」「強い情動的・共感的反応」「刺激に対する圧倒されやすさ」などで説明される、比較的安定した気質的特性とされています。

つまり、「その人が強いか弱いか」を表している概念ではなく、環境からの刺激をどのように受け取り、処理するかという個人差なんですよね。

日本のHSC研究では「3つの側面」から感受性をみている

日本語版青年前期用敏感性尺度(HSCS-A)を作成した研究では、中学1年生から高校1年生までの942人を対象に調査が行われ、「易興奮性」「美的感受性」「低感覚閾」の3つの側面が確認されています。

①易興奮性(EOE)

刺激が重なったり、一度にたくさんのことが起きたりすると、圧倒されやすい傾向。

②美的感受性(AES)

芸術や美しいもの、細かな変化などに気づき、反応しやすい傾向。

③低感覚閾(LST)

比較的小さな感覚刺激にも気づきやすかったり、不快に感じやすかったりする傾向。

ここを見ていて、私は改めて思いました。「意志が弱い」「自己主張できない」「人付き合いが苦手」「困難に立ち向かえない」という話とは、そもそも別なんですよね。

研究で測ろうとしているのは「感受性」。その子の「強さ」を測っているわけではありません。

「繊細」と「強い」を一本の物差しにしていた

私の頭の中には、無意識に「繊細←――――――→強い」という一本の物差しがあったのかもしれません。でも、たぶんこれがおかしい。

本当は、

感受性 低い←――→高い
自己主張 弱い←――→強い
主体性 低い←――→高い
社交性 低い←――→高い
援助希求 苦手←――→得意

みたいに、それぞれ別の軸として考えたほうが分かりやすい。

だから、「刺激にはとても敏感。でも嫌なことにはNOと言える」は普通に成立する。「傷つきやすい。でも必要なときには自分から助けを求められる」も成立する。「不安を強く感じる。でも怖いことに立ち向かえる」だって成立します。

そもそも「怖くない人」が強いの?

ここまで考えて、もう一つ引っかかったことがあります。私たちは何を見て「強い」と判断しているんだろう。

泣かないこと?傷つかないこと?不安にならないこと?平気な顔をしていられること?

でも、怖い。傷つく。不安になる。それでも必要なときに「嫌だ」と言う。誰かに助けを求める。もう一度やってみる。それも十分「強さ」なんじゃないかと思います。

感じないから強いんじゃない。感じたうえで動ける強さもある。

次男を見ると、さらに分かりやすかった

わが家にはもう一人、次男がいます。次男についてHSCだと判断しているわけではありませんが、感受性の高さを感じる部分はあります。

刺激が重なるとイライラしやすい。急な予定変更が苦手。強い口調で叱られるとかなり傷つく。服の感触など、触覚にはかなり敏感。一方で、音・光・匂いにはそれほど敏感ではありません。

そして、人前に出るのが好き。学校では代表になって発表することもあり、「緊張したけど楽しかった」と言います。嫌なことにはハッキリ「嫌」と言う。

感情も内側だけに抱えるというより、「イヤ!!なんで!!💢」と、かなり外に出すタイプです(笑)。怖いことがあっても、最終的には「やってみる」ができることもある。兄とは全然違います。

「繊細な子ってこういう子」という一枚絵では語れない

長男は、大人しく内向的。でも芯は強い。次男は、刺激によってはかなり反応する。でも人前に出るのが好きで、自己主張も強い。

そして母は、内向的。いろいろ拾う。めちゃくちゃ考える。しっかり消耗する。でも気は強い(笑)。

こうして3人を見ていると、「繊細な人ってこういう人」という一枚絵そのものに無理がある気がします。受け取る感度と、受け取ったあとどう行動するかは、同じものではないんですよね。

HSCは「悪い環境に弱い子」だけでもなかった

そしてHSCについて調べていて、私が特に興味深かったのが「環境感受性」や「可塑性」という考え方でした。

感受性の高い子は、困難な環境からネガティブな影響を受けやすいことがあります。でも、それだけではない。

お茶の水女子大学などの研究チームが日本の高校生を追跡した研究では、感受性の高い子ほど、学校環境が良い方向へ変化したときに情緒的適応も改善する関連が確認されました。

つまり、「悪い環境に弱い」だけではなく、「良い環境からも良い影響を受けやすい」可能性があるということ。

大学の研究紹介でも、繊細な子どもを単に「変化や困難に弱い脆弱な子ども」とみなすのではなく、環境の質に応じて良くも悪くも影響を受けやすい子どもとして理解することが期待される、と説明されています。

これを知ったとき、「弱いんじゃなくて、受け取る量が多いのか」と、私はかなり腑に落ちました。

いい刺激も反応しやすいって、希望ある言葉だな、とも😊

ちょっとだけ脳の話。セロトニンも関係あるの?

以前どこかで「HSP・HSCにはセロトニンが関係している」と読んだ記憶があったので、ここも調べ直しました。

お茶の水女子大学の研究紹介では、感覚処理感受性について、セロトニントランスポーターに関係する5-HTTLPRなどの遺伝的要因や、中枢神経系の敏感さとの関連が考えられていると説明されています。

ただし、これは「この遺伝子があるからHSC」「セロトニンが少ないから繊細」と単純に決められる話ではありません。少なくとも私が今回調べて感じたのは、HSCを「本人の気の持ちよう」や「性格が弱いから」で説明するような単純なものではない、ということでした。

強い子だって、消耗する

ここで、長男の不登校の話に戻ります。長男は現在、予期不安が強く、以前ならできていたことが難しくなっているものもあります。一時的にメンタルが落ちているのも事実です。

でも私は今も、「この子には辛いことに立ち向かう力がない」とは思っていません。本来、その力を持っている子です。だからこそ私は最初、信じられなかったんだと思います。

ただ、今なら分かります。強い子も消耗する。立ち向かえる子でも、刺激や負荷がその子の処理できる量を超えれば、立ち止まることがある。

「立ち向かう力を持っていること」と、「今、その力を使えるコンディションであること」は別。

学校へ行けなくなったからといって、それまで長男が持っていた強さまで消えたわけではありません。

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私が切り離したいのは「繊細だから、か弱い」

私は「HSP・HSC=繊細」という部分を否定したいわけではありません。実際、よく感じる人たちだと思います。

私が切り離したいのは、「繊細→だから、か弱い」という勝手な接続です。

よく感じることと、弱いことは同じじゃない。傷つくことと、芯がないことも同じじゃない。不安になることと、勇気がないことも同じじゃない。

そして、今動けないことと、本来その力を持っていないことも、同じじゃない。

職場のゴリゴリHSPさんを見て、「私がHSP名乗ってすみません🤣」なんて思っていたけれど、たぶん謝る必要はなかった(笑)。

「繊細」の反対は、「強い」じゃない。

よく感じる。傷つく。不安にもなる。それでも自分の意見を持てる。嫌なことには嫌と言える。怖くても、必要なときには動ける。

繊細で、強い。

そんな人も、そんな子も、普通にいるんだと思います。

参考にした資料

  • 岐部智恵子・平野真理(2019)「日本語版青年前期用敏感性尺度(HSCS-A)の作成」パーソナリティ研究 28巻2号 108-118

    J-STAGEで読む
  • お茶の水女子大学「繊細な子どもの情緒的発達は良い学校環境から良い影響を受けやすい~発達における脆弱性を可塑性として捉え解析~」

    お茶の水女子大学の研究紹介を読む

※HSP・HSCは医学的な診断名ではありません。本記事では、感覚処理感受性(SPS)に関する研究を参考にしながら、わが家で感じてきたことを書いています。【⑥締め・署名】

❀moyu❀

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