多因子の問題を、善悪二元論で潰している〜「他責思考」という言葉に感じるズレ〜

不登校・子育て

「不登校の親は他責思考だ」

SNS、とくにThreadsでは、そんな言葉を目にすることがあります。

でも私は、その言葉を見るたびに強い違和感があります。

なぜなら、こちらがしているのは“責任転嫁”ではなく、「何が起きているのか」を分析しようとしている行為だからです。

今回は、
他責思考」と「外的要因に対する責任の追及」は本当に同じものなのか?
ということについて、私なりに整理してみたいと思います。

「外的要因を語る=他責」なのか?

不登校について語ると、

不登校について語ると…
  • ☑ 学校環境が合わなかった
  • ☑ 刺激が強すぎた
  • ☑ 支援が機能しなかった
  • ☑ 無理解な言葉で傷ついた
  • ☑ 集団生活で過剰適応を起こした

そんな話をすることがあります。

すると時々、

「それは他責思考だ」
「親が学校のせいにしている」

と受け取られることがあります。

でも、本当にそうでしょうか。

例えば医療や心理の世界では、
人が不調になる時、「本人の性格だけ」で片付けません。

  • ☑ 労働環境
  • ☑ ハラスメント
  • ☑ 睡眠不足
  • ☑ 孤立
  • ☑ 慢性的ストレス
  • ☑ 支援不足
「本人の弱さ」だけではなく、
外的因子も含めて考える。

そういった“環境因子”も含めて考えます。

うつ状態になった人に対して、

「本人が弱いだけ」
「甘え」

だけで終わらせないのと同じです。

なのに、不登校の話になると急に、

「環境要因を語るな」
「学校側に触れるな」
「それは他責だ」

という空気になることがあります。

私はそこに、大きなズレを感じています。

他責思考(問題の原因を他人や環境のせいにする認知パターン)と客観的事実(主観や感情を交えずに捉えた実際の出来事や数値)の最大の違いは、「原因の所在を『事実』としてフラットに検証するか、自分を守るための『感情』や『思い込み』で他者へ押し付けるか」という点です。

不登校は「単一原因」で説明できない

実際、不登校ってとても多因子的です。

◉本人の気質や特性  ◉家庭環境   ◉友人関係  ◉学校文化  ◉教師との相性  ◉体調 ◉ 発達特性 ◉ストレス耐性 ◉自律神経  ◉過去の経験

いろんなものが重なっています。

だから本来は、

「どの要因が、どう影響したのか」

を見ていく必要がある。

でもSNSでは、
複雑な話ほど嫌われやすい。

その代わり、

「甘え」
「親の育て方」
「学校批判」
「自己責任」
「他責」

みたいな、単純で分かりやすい言葉が拡散されやすい。

だけど現実は、
そんなに白黒で割り切れるものではありません。

環境調整で改善する子は実際にいる

これは実際によくある話です。

  • 別室なら行ける
  • 人数が少ないと動ける
  • 担任が変わると安定する
  • オンラインなら学べる
  • 行事だけ参加できる
  • 通信や適応指導教室では落ち着く

こういう子たちは、珍しくありません。

つまり、
「環境との相互作用」が存在しているということ。

もし本当に“本人の甘えだけ”なら、
環境が変わっても反応は変わらないはずです。

でも実際は、
環境調整によって動けるようになる子がいる。

だから外的要因を考えることは、
単なる責任転嫁ではなく、
「改善の糸口」を探す行為でもあるんです。

「誰が悪いか」を決めるためではない

ここを誤解されやすいのですが、
外的要因を語ることは、

「親は悪くない!」
「子どもは悪くない!」
「学校だけが悪い!」

と言いたいわけではありません。

親側にも課題はあるかもしれない。
本人にも未熟さはある。
学校側にも限界がある。

だから本来は、
「誰が100%悪いか」
を決める話ではないんです。

それぞれの要因が、
どう重なって苦しさにつながったのか。

そこを見ないと、
支援も改善もできない。

でもSNSでは、
“構造の分析”より、
“善悪の断定”の方が広がりやすい。

その結果、
原因分析そのものが、

「他責!」

という言葉で潰されてしまうことがある。

私はそれが、とても危ういことに感じています。

かもみ〜る
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「他責思考」と「原因分析」は違う

私は、「他責思考」という言葉自体を否定したいわけではありません。

実際、
自分の課題を一切見ず、
全部を他人のせいにする思考は存在すると思います。

でも、

「学校環境は合っていたか?」
「支援は機能していたか?」
「刺激過多ではなかったか?」
「どこで限界を超えたのか?」

を考えることまで、
全部まとめて“他責”と呼んでしまうのは違うと思う。

それは、
問題を立体的に見ることを放棄してしまうから。

そして一番苦しくなるのは、
困っている子どもたち自身です。

「外的要因を語るな」
「環境の話をするな」
「それは甘えだ」
「他責だ」

そんな空気が強くなればなるほど、
苦しさを言葉にできなくなる子が増えてしまう。

だから私は、
“外的要因を語ること”と、
“責任転嫁”は分けて考えるべきだと思っています。


「多因子の問題を、善悪二元論で潰している」

最近SNSを見ていて、強く感じることです。

白か黒か。
誰が悪いか。
誰の責任か。

それだけでは見えなくなるものが、確かにあると思っています。

❀moyu❀


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